彼女は、シベリア鉄道に乗って、ナホトカを経て
この都市にやって来たと言う。
彼女を連れてきた紳士は、そこで彼女を置き去りにして、
どこかへ行ってしまったのだと言う。
知らない土地で一人残された彼女は、だけど
とても穏やかだった。
いつだって私の話しを聞いてくれた。
だから私は気が付かなかったのだ。
彼女が突然いなくなるまで・・・・・
彼女だって辛かったのだ。
故郷を思って辛かったのだ。