【チョピコの親別れ】

文・Obacoさん/イラスト・みのり
猫の絵


もう6〜7年前のこと。当時住んでいたアパートの階段の下に、

いつもゴロゴロしていた大きなキジトラ猫がいました。

猫にはまったく関心はなかったのですが、7匹の猫と同居していた妹の家を訪ねた後、

普段は気にもとめずに見過ごしていたその階段猫に、

冷蔵庫の余り物のチーズをあげました。それがゴロとの付き合いの初めです。

ゴロに与える餌も、残り物チーズから買ってきたチーズ、カニカマ、

更にカリカリ、猫缶、やがてナマリや鶏肉へとエスカレートして行きました。

毎日朝夕餌は与えていても、ゴロは絶対に触らせてくれない猫でしたから、

「猫に触りたい、いじりまわしたい」という欲求不満はつのるばかり。

やはり仔猫の時から自分の猫として飼わなければ駄目だ、と思ったものです。



やがて猫の恋の季節に、野良メスのミケコが現れました。

ミケコをゴロのお嫁さんにして、生まれた仔猫を飼おうと企んだのですが、

その年に生まれた仔猫の中にはゴロと同じキジトラはいませんでした。



翌年春、6匹ほど生まれた中に1匹だけ、ゴロと同じキジトラ猫がいましたので、

その仔猫を家に連れて帰りました。ところが仔猫はご飯も食べず、

オシッコもしないで泣き続けます。外からは親猫ミケコの呼ぶ声、

中からは仔猫の泣き叫ぶ声が終日続きました。

それに耐えきれず、また仔猫の空腹も心配で、何度も負けてミケコに返したのですが、

やはり飼いたい気持ちも強かったので、連れて来るという繰り返しです。



結局、仔猫が三日三晩泣き続けたあと、外からのミケコの声に変化がありました。

それを聞いた仔猫は、ピタリと鳴くのをやめて、まずトイレに飛び込んでオシッコをし、

それからガツガツとご飯を食べ始めたのです。その後は、一声も鳴かない猫になりました。


それが私の愛猫チョピコだったのです。





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